脊椎のS字

脊椎は頭側から頸椎、胸椎、腰椎があり、その下に仙椎、尾骨があります。

それらは横から見たときS字にカーブを描き生理的弯曲と呼ばれます。

上からの重力に対する荷重を緩衝してくれていて、仮に弯曲がなく真っ直ぐに近づけば負担はある局所に集中しやすくなってしまいます。

S字のカーブがあることで、負担が局所に集中することを防ぎ分散させてくれます。

またこの生理的弯曲が保たれ、重力に対し真上に身体が伸長できている時、身体の可動域は大きくなります。逆に縮こまった姿勢では可動域は低下します。

歩く動作をあげると、股関節の伸展、脊柱の回旋、腕を振るなど様々な面で、生理的弯曲そして身体軸の伸長が起こるときにしっかり機能していきます。

このように構造的な面でも機能的な面でも、直立二足のヒトの脊椎が生理的弯曲をとることはとても重要です。

年齢を重ね、運動習慣がなくなったり筋力が衰えていくと重力に逆らいS字を保つ機能も下がっていってしまいます。

そこで、普段の生活の中でやってみていただければと思うのが、上に伸びることです。天井から糸で引っ張られるように、とよく言われますが、まさにそのようなイメージで伸びて、身体軸の伸長を促すことが効果的です。

脊椎は上に伸びるように動かしたときに、生理的弯曲が出るような構造になっています。

なので、縮こまる姿勢を長くとることが習慣になってしまっている時は、上に伸びるというそれだけのことでも注意して行うことで、生理的弯曲を作るための筋が働きます。

言うは易しで継続は大変ですが、こういった小さなことの積み重ねで身体は良い方向に向いていきます。