運動と食事

先日読んだ文献にハッザ族の代謝について書かれていました。

ハッザ族というのは、世界に残る数少ない狩猟採集民です。主食は野生のイモで、女性が土から時間をかけて掘り出し、野イチゴなどの実も食べています。

男性は手製の弓矢を携え、毎日何キロも獲物を探す狩りに出ます。

そんな生活を送るハッザ族と欧米の成人とは、どれほど消費エネルギーが違うかを検証した結果が書かれていました。

研究者たちは、ハッザ族は現在の都市生活者より、多くのカロリーを消費しているだろうと予測し、都市生活者の消費エネルギーがいかに不足しているかを明らかにしようとしました。

結果は研究者の予想に反し、ハッザ族の代謝量は男性は1日に約2,600kcal、女性は約1,900kcalでした。これは欧米の成人と同じという結果でした。

ヒトのエネルギー消費は身体運動のレベルが上がるにつれ頭打ちになり、エネルギー消費率はある程度決まっているということが示されました。

この結果から、現在蔓延する肥満は運動不足よりも大食いによる影響が大きいということが示されたと、記述されています。要するに、エネルギー消費率が変わらないのなら、肥満の主犯は摂取カロリーだということです。

それでも、運動を否定しているのではなく、運動が心臓や免疫系から脳機能、健康な加齢に好影響であることは実証されているということも記されています。

つまり、健康を保つには運動、体重管理には食事を重視したほうが良いということです。

運動と食事どちらも大切なのは言うまでもないですが、科学的に見ても運動と食事は、それぞれ別の健康法と考えて取り組むのが良いようです。

参考文献：The Exercise Paradox   (SCIENTIFIC  AMERICAN  February  2017)　日経サイエンス2017年4月号